日本一のぶりを作りたい。
魚にも海にも優しい育て方にこだわる、
さつま黒酢ぶり

生産者インタビュー

安心しておいしいぶりを食べてもらいたいから、海の力を利用して大切に育てたい。鹿児島県霧島市福山町でさつま黒酢ぶりを養殖している、小林松三郞さんにお話を伺いました。

鹿児島県霧島市福山町 | 福山養殖
代表 小林松三郞(こばやししょうざぶろう)さん

取り扱い商品:さつま黒酢ぶり

販路が減り、いけす内は
養殖ぶりがいっぱいに

現在、飲食店などからの注文が激減しており、養殖魚の販売が思うように進んでいません。売上が減少しているのはもちろんですが、魚の在庫が膨らんでいるのが悩みです。魚は生き物なので、在庫が多いということは、エサ代などの経費がかさみ、経営を圧迫することを意味します。また、いけすの中が過密状態になるため、病気のリスクも高まります。
秋以降に出荷シーズンを迎える養殖ぶりは、日本の農林水産品でも屈指の輸出産品です。私たちの漁場である錦江湾(きんこうわん)からは、たくさんのぶりがアメリカへ輸出されています。日本以上にアメリカの方が新型コロナウイルスの影響が大きく、ぶりの輸出量も激減しているので、残念ながら販売価格も安くなってしまうだろうなと予想しています。

魚にも海にも優しい方法で育てる

うちは「かごしまの魚」ブランド第一号指定に始まり、現在はASC認証という、養殖に関する国際認証も取得しています。漁場全体で抗菌剤や抗生物質のような薬を使わず養殖方法を工夫し、さらに錦江湾の海の力をうまく利用することで、魚にも環境にも優しい養殖の方法ができていると自負しています。

実際に、私たちの養殖場はいけすの間を100mぐらい離していて、入れる魚の数も制限してるんです。簡単に言うと、3密を避けた育て方ですね(笑)。そして、いけすにはぶりだけでなく、イシガキダイという魚を入れています。イシガキダイがいけすの網についた貝や牡蠣を食べてくれるから、網が年中きれい。新鮮な水が常に入り、海の中の酸素もたっぷりなので、魚がすくすく育つ状態になっています。
地球温暖化や近ごろの豪雨災害などにより、自然が絶えず変化する中、魚を育てていくのは本当に難しい。長年の経験で海を見たときの勘とモニタリングから、海に自分たちの育て方を合わせていき、魚がストレスを感じないようにしています。

さらに「さつま黒酢ぶり」と言う名前で商標を取っている通り、エサの中に黒酢を混ぜて育てています。実は地元霧島市福山町は鹿児島の黒酢のほとんどを作っている町。私も飲料水の中に黒酢を入れて飲んでいるのですが、夏場の炎天下の仕事でもバテにくいんです。人も魚も一緒で血流を良くしたり、老廃物を浄化したりする効能があると感じています。「黒酢ぶり」を食べられた方々からは、「脂が乗っているけど、後味がさわやかで脂の質が良いね」とよく言われます。

※ASC認証:水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council)が管理運営する養殖に関する国際認証制度で、自然環境の汚染や資源の過剰利用の防止に加え、労働者や地域住民との誠実な関係構築を求める

小林さんが直伝、
養殖ぶりのおいしい食べ方

まずは刺身をおすすめします。おいしいだけでなく、生で食べることで栄養を一番効率よく身体に取り入れることができます。また、ひと手間かけて、炙りやぶりしゃぶにするのもおすすめ。ぜひ、ポン酢と大根おろしで召し上がってみてください。ぶりと大根は恋人同士ではないかと思うほど合いますよ。

日本一のぶりを作りたい。
小林松三郞さんが持つ幼いころからの夢

兵庫県の家島諸島の坊勢島(ぼうぜじま)で生まれた私。その当時、網元だった祖父が、日本で初めて養殖を始めた香川県安戸池へ視察に行き、昭和28年頃に養殖業を始めたのが我が家の養殖のスタートでした。その後、縁あって鹿児島を訪れた父が錦江湾に一目惚れ!ぶり養殖に最適な、野球で言うとメジャーリーグのような海が広がっていました。ここ錦江湾は、魚が冬もエサをどんどん食べてくれるので、他の海よりも大きく育つんです。
私は幼いころ、周りから魚や養殖の話をよくされていたので、自然と養殖に興味を持っていました。「自分が魚を育てるなら、こんな育て方をするかもな」って。七夕の願いごとに、“日本一のぶりを作る”って書いた記憶もあります。
食を考えるとき、我々はいのちを食べないと生きていけない。他の大事ないのちのために、私たちはいのちを育てて食べてもらい、誰かのいのちの中でまた生きていくものだと思っています。

みなさまへメッセージ

人間の一番の元気の素って、私は食べることだと思ってるんですよね。魚だけでなく、肉も野菜もそれぞれいいところがあり、それをバランスよく食べることで、病気にかからない健康な身体になると考えています。こういう状況だからこそ、食べるものにこだわり、食べることを楽しんで、身も心も元気になってもらいたいなと思います。そうやって、食べて応援してもらえたら、私たちもまた頑張れます。これからももっと、みなさんに幸せを感じてもらえるような魚を育てていきます。

生産者情報

商品名:さつま黒酢ぶり
生産地:鹿児島県霧島市福山町
生産者:福山養殖 代表 小林松三郞(こばやししょうざぶろう)